60周年記念インタビュー 代表取締役社長 西岡 利明

水栓の品質に「感性」をも持ち込もうと取り組んでいます。

水栓の品質という点についてお聞きします。
どのようなこだわり、想いを持ってものづくりに取り組まれているのでしょうか。

私どもの商品で一番大事なのは、生命にとって必要な水をきちんと出して止められるという「栓」の役割です。この本来的な機能を堅固にしたうえで、我どもは、そこに「感性」を持ち込もうと取り組んでいます。例えば水の出方一つにしても心地よさを求めたい。一番分かりやすいのはお風呂に入っているときの水音でしょう。蛇口から出る水が湯船の水面を打つ音、それが心地よい場合もあれば、騒音のように少しうるさく感じる場合もありますよね。

お風呂は、一日の疲れを癒す場所、リラクゼーションをたのしむ場所なのですから、水面を打つ音も心地よくあってほしい。そこで人をリラクゼーションの世界へいざなうような、水音にこだわった水栓、あるいはハンドルの動き一つにしても軽ければいいというものではなく、触っていて心地よい、ハンドルの開閉操作さえも快適な水栓…。当社では、そういった人間の感性に訴えかけるようなものづくりも追求しています。

「水」を扱う商品を手掛ける企業として、環境に対してはどのように取り組んでおられますか。

地球上の水はほとんどが海水で、実際に人が生活していくために使える水は、全体の0.7~0.8%くらいということになります。この水をいかに有効利用するかが大きな課題です。最近では、国や自治体でも様々な形で取り組みが進んでおり、雨水を利用したり、排水を再利用したりするケースが多くみられるようになってきました。私どももそうした課題への対応商品として、近年、「雨水・中水活用システム」を発売しました。降った雨水をタンクに貯めて、その水を、例えば、洗車やガーデニングなどに使うというものです。

21世紀は「水の世紀」と言われており、地球上には水で困っている地域がまだまだあります。その中で、日本の水道インフラは世界に誇れる財産だと思いますので、将来的には、その優れた技術を伝えていくことができれば素晴らしいことだと思います。 また、新商品としては「発電式自動水栓」という商品も完成しました。簡単な水力発電というイメージを持っていただいたら良いと思います。これまではACもしくはバッテリーで起動させていたものが、水が流れるときのエネルギーを電気エネルギーに変換して、自動水栓システムに必要な電力をまかなうというものです。こうした環境に配慮した商品については、今後の展開の中でもっと活用の場を広げていきたいと考えています。